yukiuta235の日記

クソブログです。エロゲとアイドルと、ごく稀に読んだ本の話をするかもしれません。

CROSS†CHANNEL

http://www.dmm.co.jp/mono/pcgame/-/detail/=/cid=1772will329/

「エロゲやった記憶を真っさらにしてやり直したいゲームはなんですか?」

と言われたら、真っ先にこれを挙げます。このゲームの衝撃度はそれほどまでに強烈でした。これがあったから田中ロミオに囚われるようになったし、エロゲというものに呑み込まれていったのだと思います。そういう意味では非常に罪深い作品ですね。

2003年に発売された、エロゲのそのジャンルにおいては金字塔的作品です。そもそもこのゲームの知名度の広がり方、売れ方というのが変でした。

エロゲって大体、発売3日間で大体の数字が決まっちゃうんですよ。ブランドであったり、スタッフであったり、或いは体験版がということもあったりしますが、なんにせよ前評判で大体予約数が確定し、それ以上の本数が出ることはほぼありません。違法DLでその後出回ってしまうというのも大きいんだと思います。

で、このゲームも最初は全く注目を浴びていませんでした。当時田中ロミオというライターがどこの誰なのか全く知られていませんでしたし、発売元のFlyingShineも独自でゲームを発売していませんでした(開発は以前から担当してたと思いますが、販売はこれが初のはず。エロゲの販促というのもぽっと出で出来るわけではないんですね)。

当時販促で流れていたムービーも目新しいものもありませんでしたし、何よりデカかったのは今や別ブランドがゴールデンタイムでCMを流すまでになってしまった、Leaf待望の新作、「天使のいない12月」の発売日と被ってしまっていました。当時で言えば恐らくRUNEキャラメルBOXが対抗馬になるんでしょうか。Augustもこの作品で知名度をグッとあげた印象もありますね。RUNEの「Ricotte」も名作ですよ。このブランドはロリータのイメージしかないかもしれませんけど。

なんにしても上記のブランドがこぞって作品を発売した日だったので、より一層注目度は下がり(そもそも上がり目もなかったんですけど)、その辺の学園モノのエロゲとして消えていく

はずでした。

突貫者からあがってくる感想が明らかに熱量としておかしいんですよ。何が起こったんだとエロゲ界隈が騒がしくなり、ボヤ騒ぎになったかと思ったら最後に(あまり言葉がよくないですが)爆破炎上させたのは、既に「月姫」でその知名度を確固たるものにしていた奈須きのこ御大の日記でした。

「絶対に超えられない壁として君臨する作品」

最終的に1万本を超える大ヒット作品となり、20032chエロゲランキングで堂々の1位をかっさらっていくのでした。無名のブランドが1万本売るなんて異例中の異例なんですよ皆さん。後々、田中ロミオが誰なのかというのも人気に拍車をかけた気がします。なんでしょうかね、例えるなら「シュタインズ・ゲート」みたいな火のつき方をしたって言えばいいんですかね。伝わってますかね。

長い前フリになりましたが、そんなこんなで今日のエロゲ業界における伝説的作品となったわけなんですね。ここまで書くのに1時間ちょいかかりました。熱入ってんなー。

 

んで最初に戻りますけど。何で記憶飛ばしてもう一回このゲームをやりたいかって話ですよ。それはこのゲームの序盤に出てくる、あのセリフですよ。もうあの一言で全てを持っていかれます。壮大なネタバレになるんで言いませんけど。いや調べりゃ一発出るんですけど。

そこから「僕らは何を読まされているんだろう」状態に入ります。色んな意味で。この辺はそうですね、非常に選り好み分かれると思います。でも素晴らしき日々よりかは柔らかいと思います。あくまでも僕の感覚ですけど。

そして全てを読み終えた時、謎の脱力感、無力感に襲われると思います。それでも全てを回収して、確認を終えた後の読了感と満足感は、ちょっと他の作品では得られません。様々な群像劇を渡り歩いた末にたどり着く、主人公太一の結論を皆さまにも是非とも見届けていただきたいですね。

素晴らしき日々がかなり哲学に寄ってると考えると、もう少し人生観とかに寄ってる気はしますね。当時の世相というか、社会的ムーブメントを切り裂いてるのも田中ロミオの恐ろしさを体感させてくれる作品のような気がします。今でもなんでもないふりして世相をバッサリいったりしてますけど、言われてみればこの頃からやってますよね。やることエグいですね。

このゲームの話をしようとすると、ネタバレなしで走り抜けようとするのがすごく難しいんですよね。本編に関する感想とか考察に関しては、いっくらでも書けるんですけど。この辺からなんですかね、エロゲに関して色々考えたり、文章外の様々な事柄に思いをやるようになったのは。山田一時代はもっと直球的に殺しに来ていたような気がします。この辺は本人が意識的に使い分けてるのか、受け取る側が厄介になっていったのか、世間がそうさせたのか。なんにしても一つの方向性を示したという意味では避けては通れない作品なんでしょうね。

 

さて、ここからは余談になりますので、興味ない方は。

2003年というのは、ふと振り返るとエロゲにとってエアポケットな年だったなあと。勿論上記のCROSS†CHANNELが生まれたという意味では物凄いモンスターを生み出している年なんですけど。

先程挙げたLeafの「天使のいない12月」は、今考えるとメンヘラチックな女が出てきた先駆け的な作品ですし、Augustもこの「月は東に日は西に」がアニメ化、人気ブランドへ足を踏み込んだ一作を発表しています。

ただ当時発売直後の評価としては、あくまでもLeafのブランドの力で話題になっていて、ちょっと期待外れだったのかなあという風潮でした。Leafとしてはこの前後、「Routes」、高橋作品のリメイクや「鎖」等、少し印象の薄い作品が続きます。「うたわれるもの」というビッグすぎるタイトルに霞んでいる、とでも言いましょうか。Augustもまだ一大勢力と呼べるほどのブランド力があったわけでもありません。「夜明け前より瑠璃色な」、「FORTUNE ARTERIAL」で地位を固めたような気がします。

他にもニトロプラス沙耶の唄」、「斬魔大聖デモンベイン」、Xuse永遠のアセリア」、戯画「ショコラ」、F&Cこなたよりかなたまで」等、列挙してみるとオタクなら何となくは知ってるタイトルが並ぶものの、やや小粒な印象が拭えない年とも言えます。デモベを小粒扱いするのも変な気がしますけど。あれスパロボ出てんだぞ。

その中を田中ロミオが一閃した年だったのかなあと、今振り返れば思ったりします。それくらい電撃が走った作品とも言えました。アリスの「大番長」が予想を超えてこなかったのも大きかったのかもしれません。面白いんだけどね。

歴史として振り返れば色んなゲームがあって様々な角度から見られるのかもしれませんけど、当時の観点からすると評価が分かれる作品が多かったなあと思ったりしてます。

ちなみに僕のHN、ゆきうたもこっそりこの年に発売されました。やっぱり色んなゲームに富んでる年だなあ。

 

追記

ちょっと読み返しましたが、アセリアを小粒扱いはアレですね。高瀬奈緒文先生の代表作でもありますし。やっぱりエアポケットというよりかはエポックメイキング的な年で、多様性に富んだ、と表現した方が的確かもしれない。

あ、後、愛奴隷は僕のなので。